糸とは、天然繊維あるいは化学繊維を細長く引き伸ばしたものである。
糸を作る過程に紡績があり、紡は撚り合わせる工程、績は引き伸ばす工程を指す。天然繊維の殆どは短繊維であるため引き伸ばす工程が必要となる。引き伸ばした糸(績を行った糸)を紡績糸やスパン糸、あるいはステープル糸と呼ぶ。翻って、化学繊維は短繊維と長繊維ともにあるが、長繊維は引き伸ばす工程は必要ない。引き伸ばさなかった糸(績が不要な糸)を紡糸あるいはフィラメント糸と呼ぶ。
天然繊維の中で唯一長繊維である生糸は例外で、複数個の繭を同時に解いて繊維化し、撚りをかけながら糸にする。この工程を製糸という。
(出典:https://www.tokyo929.or.jp/column/string/1.php)

異なるスパン糸を紡績工程で1本の糸にしたものを混紡糸、異なるフィラメント糸を紡績工程で1本の糸にしたものを混繊糸と呼ぶ。
また紡績したままの1本の糸を単糸、2本の単糸を撚り合わせた糸を双糸、3本の単糸を撚り合わせた糸を三子糸と呼ぶ。双糸の別名に諸糸があるが、これはフィラメント糸を撚り合わせたものを言う。

織られるのを今か今かと待つ糸

Yarn twist S-Left Z-Right

撚り方向の違い

撚糸

糸に撚りをかけ螺旋状になったものを撚糸という。時計回りに撚ったものをS撚り、逆方向に撚ったものをZ撚りという。フィラメント糸はS撚り、スパン糸はZ撚りにされることが多い。
撚りの強さは撚り係数で表され、数値が高いほど強く撚られていることを示す。

糸の単位

糸の太さを表すために様々な単位がある。糸のもとになる繊維は1本1本、さらには1本の中でも太さが異なるため、単純に直径では表されない。
番手……基準となる重さに達したときの糸の長さを基準値となる1番手と定め、長さが増えるごとに2番手、3番手…となる。(例)1kgに達した際の長さが1kmである糸は1番手、2km必要な場合は2番手となる。この例は「毛番手」であり、他には1ポンドに達した際の長さが840ヤードの糸を1番手とする「綿番手」、1ポンドに達した際の長さが300ヤードの糸を1番手とする「麻番手」がある。番手の場合、数値が高いほど糸は細い。
デニール……9000メートルの長さに達した際、1グラムの重さである糸を1デニールと定めている。デニールの場合、数値が低いほど糸は細い。
テックス……10000メートルの長さに達した際、1グラムの重さである糸を1デシテックスと定めている。テックスの場合、数値が低いほど糸は細い。
番手のように基準となる重さに対して糸の長さがどれだけになるかを測る方式を「恒重式番手」といい、デニールやテックスのように基準となる長さに対して糸の重さがどれだけになるかを測る方式を「恒長式番手」という。

紡績工程

混打綿

カーディング

コーミング

練条

粗紡

精紡

捲糸

関連用語

カード糸

コーマ糸

コンジュゲート糸

サイロスパン

セミコーマ糸

梳毛糸

紡毛糸

番手

テックス

デニール

意匠糸

ネップ

スラブ糸

フィラメント糸

スパン糸

撚糸

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