染色とは、染料または顔料を用いて繊維、糸、生地などに色を付ける作業である。染料は色材を繊維へ科学的に結合させ、顔料は樹脂(接着剤)の力を借りて色材を繊維表面に接着させる。
染料が繊維の内部にまで染み込むのに対し、顔料は表面に留まるため、染料は色落ちしにくく顔料は色落ちしやすいと言える。
(出典:https://www.tokyo929.or.jp/column/color_process/post_30.php)
また天然染料は不安定なため、媒染剤を用いて安定させる必要がある。
生地にする前と生地にした後で染める方法があり、それぞれ先染め、後染めと呼ぶ。
先染めは、原料のまま染める原料染め、撚りをかけていない繊維の状態を染めるトップ染め、糸の状態で染める糸染めに分けることができる。
後染めは、生地をまるごと染液に浸す浸染、ノリを加えて染める捺染(プリント)、生地の一部を縛って染色させないようにし紋様を生む絞り染めなどがある。
Dan Brady [CC BY 2.0], via Wikimedia Commons
Anittos at English Wikipedia [CC BY-SA 3.0], via Wikimedia Commons
最古の染織物はジョージアで見つかった亜麻繊維とされ、紀元前34,000年ごろのものとみられる。中国では5,000年前頃から植物、樹皮、昆虫などを染料にしていた。
世界初の合成染料は、1856年にイギリスの科学者であるウィリアム・パーキンが開発したモーブである。当時マラリアの特効薬だったキニーネの合成実験中に偶然発見された。
繊維と染料の間には相性があり、同じ染料を使っても染まるあるいは染まりやすい繊維と染まらないあるいは染まりにくい繊維がある。以下はその表である。
繊維名/染料 | 直接 | 酸性 | 分散 | カチオン | 建染 | 硫化 | 反応 | ナフトール |
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綿・麻 | ◎ | × | × | × | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
絹・羊毛 | ○ | ◎ | × | ○ | ○ | × | ◎ | × |
レーヨン | ◎ | × | × | × | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
アセテート | × | × | ◎ | × | ○ | × | × | ◎ |
ナイロン | ○ | ◎ | ◎ | × | ○ | ○ | ○ | ◎ |
ビニロン | ○ | × | ◎ | ○ | ○ | ◎ | ○ | ◎ |
アクリル | × | ◎ | ○ | ◎ | ○ | × | × | × |
ポリエステル | × | × | ◎ | × | × | × | × | ◎ |
(出典:https://www.esnet.ed.jp/center/shiryo/uploads/dyestuffs.pdf)