更紗

更紗(さらさ)とは、インドを起源とする木綿の染織物である。
もとよりインドでは染織物が発達し、様々な製品が誕生していたが、現在の更紗と呼ばれるジャンルのものが生まれたのは1600年代初頭といわれる。その後オランダやポルトガルの商人らによってヨーロッパにもたらされると大いに人気を博したが、ヨーロッパの織物工場では更紗独特の模様が表現できず経営が悪化するケースが相次いだ。これらを守るためにフランスでは1686年から、イギリスでは1701年から数十年にわたり、更紗の輸入や着用が禁じられた。
1800年代も半ばに差し掛かるとヨーロッパでも更紗が生産できるようになった。その頃には柄は大きく変遷しており、もともとインドの染織物に留まっていた頃には風景が表されていたが、ヨーロッパとの貿易を経て生命の樹や植物柄が主なものになっていき、今日では更紗といえば植物柄といったイメージを持つに至る。
大衆に普及した更紗だが、1996年にはIKEAが「更紗を追い出そう(Chuck out your chintz)」と連呼するCMを打ち、シンプルな柄への嗜好が高まった。しかし近年では更にそれに対する反動として、再び更紗の人気が高まっている。
(出典:https://www.vogue.com/article/chintz-prints-to-know)
(出典:https://fashionheritage.eu/fascinating-textiles-the-origins-of-chintz/)
(出典:https://www.dezeen.com/2016/02/22/ikea-chuck-out-your-chintz/)

日本における更紗

更紗が伝わった当初は多くの舶来品と同様に貴重品であったが、江戸時代に木綿栽培が盛んになったことも相まって、木綿の染織物である更紗も庶民に普及していった。柄ははじめ手書きで描かれていたが、手間がかかることから木版と型紙に移っていった。
日本国内の更紗を和更紗と呼び、天草更紗、長崎更紗、江戸更紗など多くのものがあるが、はじめに勃興したのは地方の更紗であり、江戸で更紗が盛んに生産されるようになるのは明治時代を待たなければならない。
(出典:https://artsandculture.google.com/story/7AXhF88HSlgTJg?hl=ja)

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ダマスク織